ガソリン価格は前年比2割ほど値上がりしている(都内の給油所)
7月の4連休から始まる夏の行楽シーズンは、ガソリン高となりそうだ。首都圏や関西の激戦区のレギュラーガソリンの店頭価格は1リットル150円台が目立つ。原油高を背景に価格は上昇傾向で、昨夏に比べ2割高い。東京都などでは緊急事態宣言が発令され外出自粛ムードが漂うが、「密」を避けられる車移動には底堅い需要もある。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの「OPECプラス」の18日の合意によって、8月以降、産油量は増えるが、原油需要が世界的に回復しているため、ガソリン価格も高水準が続く可能性がある。
「ガソリン価格がどんどん高くなっている」。東京都内で給油していた20代女性は話す。都内の激戦区である環八通り周辺の給油所では1リットル150~156円の看板が目立つ。関西圏でも大阪市や堺市、大阪府南部の岸和田市、泉佐野市では155~159円が中心。いずれも昨夏に比べ20~30円ほど値上がりした。
(注)レギュラーガソリン、全国的
(出所)資源エネルギー庁
資源エネルギー庁によれば、全国の店頭平均価格は12日時点で1リットル158円。昨年同時期より26.2円(2割)高く2年8カ月ぶりの高値圏で推移する。地域別で最安値の岡山でも150.6円をつけ、全都道府県で150円を超えている。
都内の給油所の店長は「4連休や夏休みというかき入れ時に緊急事態宣言が重なってしまった」と販売に不安を隠さない。石油連盟(東京・千代田)の杉森務会長(ENEOSホールディングス会長)は16日の記者会見で「(今夏の需要見通しは)2019年比で5%減ほどではないか」と指摘した。
販売増を狙う給油所による値下げ競争は下火となりそう。「ガソリンの仕入れ価格は高止まりしており、値引きは難しい」(大阪市の商社)ためだ。一時は決裂した主要産油国がこの先1年超にわたって産油量の調整で合意したことも、ガソリン価格の下支えにつながりそうだ。