page top

お知らせ

  • EVのリアル、ノルウェーは街ごと スタンドから家まで 2

    スマホで充電操作

    集合住宅も変わり始めました。4年前の取材ではオスロ市役所のEV推進担当、ストゥア・ポトビックさんは「人口の7割が住む集合住宅が課題」と話していました。再会したポトビックさんと市郊外にある集合住宅「ロベコレン・ボレスラグ」を訪れました。

     

    集合住宅「ロベコレン・ボレスラグ」のガレージ(写真中央)には屋上に太陽光パネルを敷いた(オスロ)

    ガレージでは屋上に太陽光パネルがあり、中には蓄電池が置かれていました。住人理事会のキェティル・ヘトランド会長は「スマート充電システムを導入し充電時間の管理が簡単になった」と話します。

    現在246戸の住人のうち約4分の1がEVを保有しています。19年に保有者がガレージで充電器を設置できるようにしました。ですが、充電の際に容量の問題で15台までしか同時に充電できず、誰がいつ充電するかを決める必要がありました。

    そこで21年5月にスマート充電システムを導入。何%まで充電したいのかや車を使う時間などをスマホのアプリで入力するとシステムが最適な配分をするので、住人はプラグを差すだけでいいようになったのです。

    太陽光パネルで発電した電気を蓄電池にためて売電もすることで、電気代を下げられます。負荷を分散すれば電力網への高額な投資も不要。ヘトランドさんは「EVに乗り換える住人が増えても対応できるし、住宅の資産価値も上がる」と胸をはりました。

     

    蓄電池も設置し電力料金を抑える

    今後、ロベコレンのような事例が増えるのは確実です。ノルウェー政府は20年12月、集合住宅の住人が共用部分の駐車場に充電設備がほしいと要求した場合、集合住宅の理事会はそれを拒否することを禁じる法律を定めました。充電ボックスの費用は個人の負担ですが、理事会は配線などを整備しなければなりません。

    オスロ市はインフラ整備費用の20%と個人の充電ボックス費用の50%を補助します。ポトビックさんは「街中に充電用ポールを立てるのに比べれば安く済む」と話します。ノルウェーで見た変化は、需要が高まると新たな問題解決方法が生まれることを示しています。