政府・与党は7日、住宅ローン減税の見直しの大枠を固めました。ローン残高の1%を所得税などから差し引く現行の控除率を0.7%に縮小します。
新築の減税期間は原則10年間、特例で13年間となっているのを原則13年間とする。省エネルギーや脱炭素に貢献するような環境性能の高さに応じて税優遇に濃淡をつけ、中間層に恩恵が及びやすい制度に改めます。
現行の住宅ローン減税制度は原則として21年末で期限を迎えます。見直しで制度を4年間延長したうえで、23年までに新築住宅に入居する場合は減税期間を13年間、中古住宅などは10年間となります。減税を受けられる所得の上限は3000万円から2000万円に下げる。
新たな制度は省エネルギーなど住宅の環境性能に応じて減税対象とするローン残高の上限額を分けたのが特徴。
現状では減税対象の借入残高の上限は耐震性など一定の要件を満たした認定住宅なら5000万円、そのほかの一般住宅は4000万円になっている。
これを新築に関しては4つに分けます。23年までの入居について認定住宅は5000万円を維持する。新たに太陽光発電などでエネルギー消費を実質ゼロとする「ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)」を対象の要件にし、上限は4500万円に設定。国が定める省エネ基準に適合する住宅は4000万円、その他の住宅は3000万円になる。24年、25年の入居は減税対象とする借入残高の上限額を認定住宅は500万円、残りの3つの分類をそれぞれ1000万円下げる。

国土交通省によると、19年度に着工した住宅のうち、国が定める省エネ基準に適合する住宅は戸建てで9割弱、マンションなどは7割前後を占めます。政府は22年以降に新築住宅の購入で住宅ローン減税を利用する人の多くが上限4000万円以上の基準に該当するとみられます。
控除期間を延ばすことで中間層に効果が及びやすくすることも見込目ます。これまで税額控除で受けられる恩恵の上限は10年間で400万円だったが、年収が600万円の層だと所得税と個人住民税の合計で300万円程度にとどまるケースが多く減税の期間を延ばすことで税額控除の総額が増えるケースも多いとみられます。
控除率を下げるのは低金利が続き税額控除の額がローンの支払利息額を上回る「逆ざや」が生じているのを是正するため。減税期間を延ばすことで、住宅市場の逆風にならないように配慮します。